歌奏テクニック集

マイクとオーディオインターフェース、DAWをつなぎ最初の音出しをする設定

Tags: 機材設定, オーディオインターフェース, マイク, DAW, 初心者

はじめに

歌ってみたや演奏してみたの世界へようこそ。機材を揃えた後、多くの方が最初に直面するのが、マイクやオーディオインターフェースをパソコンに繋ぎ、DAW(音楽制作ソフト)で実際に音を出す(入力する)ための設定ではないでしょうか。

この記事では、マイク、オーディオインターフェース、そしてDAWを連携させ、あなたが録音の一歩を踏み出すために必要な、接続と基本的な設定の手順を分かりやすく解説します。専門知識は不要です。一つずつ確認しながら進めていきましょう。

必要な機材の確認

まず、今回の設定を行うために必要な基本的な機材を確認します。

これらの機材が手元にあることを確認してください。

物理的な接続を行う

機材の準備ができたら、実際にケーブルを使って接続します。

  1. オーディオインターフェースとパソコンを接続: オーディオインターフェースに付属しているUSBケーブルなどを使って、オーディオインターフェースとパソコンを接続します。パソコンの電源が入っている状態で接続してください。このとき、オーディオインターフェースの電源も入る(または電源を入れる)ことを確認してください。

  2. マイクとオーディオインターフェースを接続: マイクケーブル(XLRケーブルなど)を使って、マイクとオーディオインターフェースの「マイク入力端子」を接続します。入力端子には番号が振られていることが多いです(例: INPUT 1, INPUT 2)。使用する入力端子を覚えておいてください。 コンデンサーマイクを使用する場合は、オーディオインターフェースの「ファンタム電源(+48V)」をオンにする必要があります。ファンタム電源のスイッチはオーディオインターフェースの前面や背面にありますので、コンデンサーマイクを接続したチャンネルに対応するスイッチをオンにしてください。ダイナミックマイクの場合はファンタム電源は不要です。

  3. ヘッドホンまたはスピーカーの接続: オーディオインターフェースの「ヘッドホン端子」や「ライン出力端子」に、ヘッドホンまたはスピーカーを接続します。これにより、DAWからの音や、マイクから入力されている音を聴くことができるようになります。

これで、機材の物理的な接続は完了です。

パソコン側での準備

物理的な接続が終わったら、パソコン側でオーディオインターフェースを認識させるための準備が必要です。

  1. オーディオインターフェースのドライバーインストール: 多くのオーディオインターフェースは、パソコンに正しく認識され、性能を最大限に発揮するために専用の「ドライバー」ソフトウェアのインストールが必要です。オーディオインターフェースに付属のCD-ROM、またはメーカーのウェブサイトから最新のドライバーをダウンロードしてインストールしてください。インストール方法については、オーディオインターフェースの取扱説明書を確認してください。

    補足: ドライバーとは、パソコンが接続された機器を操作するためのプログラムのことです。

  2. パソコンのオーディオ設定確認: ドライバーのインストールが完了したら、パソコンのOS(WindowsやmacOS)のオーディオ設定で、オーディオインターフェースが認識されていることを確認します。通常、サウンドの入出力デバイスとしてオーディオインターフェースの名前が表示されます。ここでは特に設定を変更する必要はありませんが、認識されているか確認しておくと安心です。

DAWでのオーディオ設定

パソコン側でオーディオインターフェースが認識できたら、次はDAWソフト側の設定です。

  1. DAWソフトの起動: インストール済みのDAWソフトを起動します。

  2. オーディオ設定画面を開く: DAWソフトの「設定」メニューや「環境設定」メニューの中に、「オーディオ設定」や「デバイス設定」といった項目があります。これを開いてください。メニューの場所はDAWソフトによって異なりますので、ヘルプなどを参照してください。

  3. オーディオデバイスの選択: 開いたオーディオ設定画面で、「オーディオデバイス」または「ASIOドライバー」(Windowsの場合)の項目を探し、インストールしたオーディオインターフェースの名前を選択します。 macOSの場合は、「Core Audio」が選択されている状態で、入出力デバイスとしてオーディオインターフェースの名前を選択する形が一般的です。

    補足: ASIO(Audio Stream Input/Output)は、Windows環境で高品質なオーディオ入出力を行うための仕組みです。Core AudioはmacOSに標準搭載されているオーディオ機能です。

  4. バッファサイズ(レイテンシー)の設定: オーディオ設定画面には、「バッファサイズ」や「レイテンシー」といった項目もあります。これは、パソコンが音を処理する際の待ち時間(遅延)に関わる設定です。 録音時は、音の遅延が少ない方が演奏しやすい(マイクに入力した音がすぐにヘッドホンから聞こえる)ため、バッファサイズは小さく設定するのが望ましいです。ただし、小さすぎるとパソコンに負荷がかかり、音飛びやノイズの原因となることがあります。 最初は256 samplesや512 samplesあたりから試してみて、遅延が気にならない範囲で、かつ音飛びしない最小の値に設定するのが一般的です。設定後、DAWソフトの再起動が必要な場合もあります。

    補足: レイテンシー(Latency)とは、入力された音が処理されて出力されるまでの遅延のことです。

DAWでのトラック設定と音出し確認

DAWの基本的なオーディオ設定が終わったら、実際にマイクからの音を入力するための設定を行います。

  1. 新しいプロジェクトまたはトラックの作成: DAWで新しいプロジェクトを作成するか、既存のプロジェクトに新しい「オーディオトラック」を追加します。オーディオトラックは、録音した音声データや楽器の音を扱うためのトラックです。

  2. トラックの入力設定: 作成したオーディオトラックの入力設定を確認します。トラックには「インプット(Input)」や「入力」といった項目があり、ここでオーディオインターフェースのどの入力端子から音を取り込むかを選択します。 マイクを接続したオーディオインターフェースの入力端子番号(例: INPUT 1)に対応する項目を選択してください。通常はモノラル入力(Mono In)を選びます。

  3. トラックのモニタリング設定: 録音中に自分の歌声や演奏をヘッドホンで聴くために、「モニタリング」または「インプットモニター」をオンにします。これは、DAWを通して入力されている音をリアルタイムで出力するための機能です。トラックの設定項目にモニタリングのオン/オフがあるはずです。

  4. 入力レベルの確認: マイクに向かって歌ったり、楽器を演奏したりしてみてください。DAWのオーディオトラックやミキサー画面に表示されているレベルメーターが振れることを確認します。これがマイクから音が入ってきているサインです。 オーディオインターフェース側にも入力レベルを調整するツマミ(ゲインノブ)があります。レベルメーターを見ながら、音が大きすぎたり小さすぎたりしないように、このツマミを調整してください。録音中に音が割れてしまう(クリップする)ことを防ぐため、メーターが赤くなる手前までのレベルに調整するのが基本です。

まとめ

この記事では、マイク、オーディオインターフェース、DAWを連携させ、最初の録音に必要な接続と基本的な設定手順を解説しました。

  1. 必要な機材を確認する
  2. マイクとオーディオインターフェース、オーディオインターフェースとパソコンを物理的に接続する
  3. オーディオインターフェースのドライバーをパソコンにインストールする
  4. DAWソフトを起動し、オーディオ設定でオーディオインターフェースを選択する
  5. DAWのオーディオトラックを作成し、入力設定とモニタリング設定を行う
  6. 実際に音を出して入力レベルを確認・調整する

これらのステップを踏むことで、マイクで拾った音がDAWに入力される状態になります。これで、いよいよDAWを使った録音を始める準備が整いました。まずはテスト録音を行い、音が正しく入力されているか、遅延は気にならないかなどを確認してみましょう。